真っ白なキャンバス

橋本美桜
INTERVIEW
「白キャンかっこよ」って思ってもらえるようにならないといけない――橋本 美桜の決意
2022.05.01インタビュー&撮影:宗像明将
2022年7月9日に河口湖ステラシアターで「真っ白なキャンバス フリーライブ2022夏」を開催する真っ白なキャンバス(通称白キャン)。過去最大規模のワンマンライブにして、初の野外ライブ。そして、会場や山梨県など関係各所との事前相談をしたうえで、コールアンドレスポンスを解禁し、コロナ禍前のスタイルで開催されるライブだ。メンバーはどんな想いでライブに臨むのだろうか。橋本美桜は、白キャンは幕張メッセを目指しているのだから、河口湖のフリーライブが成功しなかったら「この先の目指し方がわかんない」とまで語るのだ。(インタビュー&撮影:宗像明将)

フリーライブだから埋まらないのが怖い

――河口湖でライブをやると聞いたとき、どう思いましたか?
橋本野外でワンマンライブをやりたいっていうのはあったんで嬉しいなと思ったんですけど、会場の大きさとフリーライブっていうことに「こわっ」と思いました。会場を見たら「でかっ!」と思って。フリーライブにして埋まらなかったときがめちゃくちゃ怖いなって思いました。
――現実的ですね。声出しライブができることに対してはどう感じました?
橋本私が加入したときから、ファンの人たちにずっと名前を呼んでもらえて、MIXが打たれてる文化がある状況でライブをしてたから、コロナ禍に急になったときに、MC中も「楽しいですかー!」みたいなコールアンドレスポンスができないし、やるのが怖くなっちゃって。煽りとかも「声出していこーぜ!」とか言ってたんですけど、そういうのが言えなくなっちゃったから、コロナ禍になってから、ファンの人たちが声を出せる環境って大切なのかもなっていうのに気づいて。だから、声出しを解禁できるのは嬉しいです。
――今回のライブをやることについて、どんな意味があると考えていますか?
橋本今まで「青木(勇斗/プロデューサー)さんがやるんだったら大丈夫っしょ」みたいな余裕あったんですよ。青木さんが「白キャンなら埋まる」って思って開いてるライブなら、お客さんもたくさん来てくれてライブとして成功するんだろうなみたいな安心感があって、ちょっと生ぬるい気持ちがあったのかなっていうのはあるんです。だけど、河口湖は最初「えっ、今この段階でなんでここでやるん?」って私は思ったんですよ。だから、「このままだったら大丈夫じゃないかも」っていう気持ちが出てきて、初めて「埋まらないかもしれない」っていう不安のほうが大きくて。白キャンのメンバー、みんなちょっと甘えてる部分があったのかなっていうのもあって。ほんとに今みんな頑張らないと、自分の心を苦しめる結末になっちゃうかもしれないと思います。
――気負いがすごいですね。
橋本「声出し解禁してこれ?」って思われるのがすごい怖いから。言い訳はできちゃうと思うんですよ、「ちょっと遠かったかもね」とか。でも、そういう要因があっても埋める人は埋めるから、そこに白キャンもいなきゃいけない。幕張に行くんだったら、今回ちゃんとやらないと終わりだと思います。別に私たちが続ける限りは終わるとかじゃないんですけど、「この先の目指し方がわかんないよね」ってなっちゃうから。上に行けるように勢いはつけたいなと思います。夏だし。
――そういう橋本さんの考えは、ほかのメンバーと共有していますか?
橋本してないです。
――またそのパターンだ(笑)。
橋本「みんなで行こうぜ」みたいな感じの人じゃないんですよ。「同じ気持ちだったらいいな」ぐらいです。

7人体制の白キャンは明るくなった

――声出しができないライブになったときに、ステージに立ってどう思ってましたか?
橋本「どういう風にやればいいんだろうな?」って言うのと、白キャンのライブが盛りあがっているように見えてたのって、自分たちが盛りあげてたんじゃなくてファンの人たちがすごい盛りあげてくれてたんだなあっていうのをすごく感じて。声出してできない状況でもクラップで盛りあげてくれたりしたんですよ。で、「あ、力不足だな」って言うのはすごい感じて。「一生声出しができない」ってなったらパフォーマンスを上げなきゃヤバいと思いました。
――その結果としてパフォーマンスが上がったと思いますか?
橋本体制が変わったりして、ダンスが揃わないとかはあるかもしれないですけど、みんなレベルアップはしてるのかなって思います。
――パフォーマンスで特に意識しているポイントってありますか?
橋本「MIXで歌が聴こえない」って言われてた時期があって。それが聴こえるようになってからって、届くものがけっこう違うじゃないですか。歌詞もいいからちゃんと歌わなきゃなって思って、歌はめちゃくちゃやろうと思いました。白キャンが本格的にボイトレをしているので、青木さんもたぶん歌の評価をしてるのかなって思います。
――自分の歌についてはどう感じていますか?
橋本昔の動画を見たら、「なんかひどいな」って思うから、今は上がったのかなって思います。いまだに青木さんに怒られますけどね、「歌が安定しないな」って。「安定させてやる」と思いました(笑)
――ダンスの面ではどうでしょう?
橋本上がってはいるんじゃないかな。加入当初と比べたら(西野)千明もめっちゃうまくなってるんですよ。ダンスの先生と振りがちょっと似てきてて、めっちゃうまくなったな。(鈴木)えまちゃんがけっこう早く動けるようになってたりとか。(麦田)ひかるちゃんも昔より前を向いてるなって個人的に思ってて、個人個人が頑張ろうと思ってるのかなと思います。
――7人体制になってからの白キャンについてはどう感じていますか?
橋本前のひかるちゃんとえまちゃんは、ネガティブになってしまったらとことんネガティブになっちゃって、「大丈夫?」って声かけていいのかもよくわかんなくて、ギクシャクしてた部分があって。仲はいいけど、深いところまで聞いていいのかわかんないみたいなのがあったけど、2人は戻ってきてから、なんかすごい明るくて、逆に落ちてるメンバーを助けているのかなと思います。グループが明るくなった気がします。(浜辺)ゆりなも、入ってきたときに好奇心旺盛な子で、ガキみたいな(笑)。「明るくなれそうだな、白キャン」って思って。2人が戻ってくるときに、ちょっと前の白キャンに戻るのかなと思ったけど、全然明るくて前より接しやすいかもしれないですね。「大丈夫?」とか言いやすくなりました。あんまり疲れない(笑)。
――そういう橋本さんも、気分の浮き沈みはありますよね?
橋本自分もけっこう病むときは深いぐらい病むんですよ。私けっこう面倒くさいタイプで、時限爆弾みたいな(笑)。だんだんイライラが溜まってきて、最後になんてないことでバーンってなって。1日あれば治るんですけど。「しょうがないか、これはもうやるしかないのかな」っていう気持ちに持っていくことはできます。
――そうやって戻ってこれるのはいいことですね。
橋本いいことなんですかね?(笑)
――河口湖に向けての白キャンの課題ってなんだと思いますか?
橋本白キャンは振りの量が多いから、フォーメーションとかリズムが合ってないとかが一生の課題みたいになっちゃってて。ステラシアターってすり鉢状で上から見られるから、そこはもうちょっとブラッシュアップしないとまずいかなっていうのはあります。
――7人の白キャンになってから、課題としてメンバーと共有したほうがいいポイントってありますか?
橋本メンバー同士で話してて楽しくなっちゃって、違う話をしちゃうから、メンバーに何か言いたいとかないかも。それも課題なのかなとも思いますけどね。そのメンバー間での共有みたいなことは自分もしないし。誰かと2人でしゃべったりとかしたら「実は今こう思ってるんだよね、これ悩んでるんだよね」みたいな話をするんですけど、全員ではしないから、全員でできるようになったら嬉しいですね。私もできないから、ちょっとできるかどうかが怪しい。めっちゃ恥ずかしいとかじゃないんだけどな、なんでできないんだろ?

ファンの人と一緒にライブを作りたい

――それも白キャンって感じがしますね。河口湖の当日って、どんなライブにしたいですか?
橋本コロナ禍前の白キャンのライブは、ファンの人たちだけで作ってた感じがして。コロナ禍に入ってからのライブは、白キャンだけでステージを作って、ファンの人たちもそれぞれに作ってるみたいな感じだったんですよ。だから、そこが合わさったらいいなと思います。私たちもパフォーマンスを見せる気でいるし、ファンの人たちも「一緒に作りたいかも」って思えるライブにしたいです。
――最近のアイドル・シーンについてはどう見ていますか?
橋本まずは自分がアイドルを知ったときに聴いてた2組の方たちが、卒業だったり解散だったりで現体制が終わるっていうのが、「マジか」ってちょっと寂しい気持ちにはなったんですけど、白キャンって、そういうときに救ってくれるような歌を歌ってるじゃないですか。だから「どこ行けばいいの?」みたいになってる人たちを励ましてあげられたらいいなと思います。一緒にアイドル界をもうちょっと支えようね、って思います。
――そんななかで、白キャンは青木さんの目標である幕張メッセに向かっていますね。
橋本「今立て」って言われたら「いや、無理やろ」って思うじゃないですか。白キャンが幕張に立って「やば、やりすぎやろ」って思われちゃったらダサいじゃないですか。だから幕張に立ったときに「白キャンかっこよ」って思ってもらえるようにならないといけないんだろうな。ステージ映えする人になりたい、1人で立っててもかっこいい人に。5人で立ってる人もいれば1人で立ってる人もいるし、「7人だからデカく見えるだろう」みたいな感じで立てる場所じゃないから。ひとりひとりが「幕張でソロをやります」って言っても大丈夫なぐらい大きくなってないとなって思うんですけど、何をしたらいいかわかんない(笑)。
――そんなことを言うと、幕張でソロコーナーが来ますよ?
橋本それはちょっとあがり症なんでやばいんですけど(笑)。でも、もしかしたらその幕張に立つ頃には「いや全然やりますよ」みたいに言えてるかもしれないから大丈夫です。
――その自信はつきそうですか?
橋本つけます。
――言い切りますね。
橋本ヤバいじゃないですか、つかなかったら(笑)。リハーサルはできても、会場のファンの人たちを見た瞬間にはけちゃうことになっちゃうから、自信はつけます。
――それは「やるしかない」っていう気持ちなんですね。
橋本やるしかないですね。
――そこまで気分の浮き沈みはコントロールできそうですか?
橋本うわー! 目標がデカいから、沈むときはもうとことん沈んじゃいそうだけど、前に「私が辞めても幕張に行くんだろうな」みたいな話をしたじゃないですか?(https://ototoy.jp/feature/2021070801)でも、Zepp DiverCity(TOKYO)のとき、青木さんはInstagramの投稿とかでも、ふだんは「やってやったぞ」みたいな感じなのに、「3年前には考えられないようなところまで来てしまった」みたいな感じで、青木さんも不安なんだなって思って。それを考えたら、別に「ついていけば行ける」とかじゃなくて、白キャンが青木さんに「行ける」って思わせてあげないとなって思えるようになりました。これ、めっちゃ成長ですよね?
――すごい成長ですね。プロデューサーを安心させてあげたいなんて。
橋本うん、ちょっと安心させてあげないと。青木さんも不安しかないと思うんですよ。ライブの後とかも、ちょっと怒っている感じのときがあるんですけど、怒ってるっていうよりショックを受けてるって本人が言ってるんで、「ああ、そうだよなー」って思います。「幕張を目指してるのは俺だけなんじゃないか?」みたいな。自分も幕張に立ちたいし、もっと頑張んなきゃですね。